農業法人たとみ農園株式会社×SDGs
近年は環境の変化が顕著にあらわれてきました。また、2020年は色々環境が劇的に変化した年でした。気候に関しては、長い梅雨や夏場の高温など、農業は自然相手ですので、水稲の生育に左右されます。SDGsに取り組む上で農業は、「食料の供給」や「環境を保持する」といった作ることから生まれる責任を考え続けて行動する義務があると思います。
実際に水稲栽培で行っている活動
- 耕作放棄地の解消(環境、動植物保全)SDGs 15
- 食育指導事業(質の高い教育をみんなに)SDGs4
- 中干し期間の延長(メタンガス排出の抑制)SDGs 12・13
- 稲刈り後の藁くずを燃やさない(二酸化炭素排出の抑制)SDGs 3・11・12・13
- 農薬の使用方法の徹底と必要以上に使用しない(環境、動植物保全)SDGs 11・12・13・14・15
※カーボン・オフセット(炭素・埋め合わせる)
企業活動や家庭で出さざるを得ないCO2、どうしても減らせないCO2をどこか別の取り組みで減す活動
たとみ農園が取り組んでいる一部を紹介いたします
たとみ農園を法人化して、10年が経ちました。農作業で外に出る事も多くなり気が付く事があります。ここ数年、気候変動が顕著に現れている事を肌で感じています。梅雨の長雨と低温、夏の高温、台風の長期化等です。弊社での経営作物のほとんどは、水稲栽培です。気候変動によって栽培の難しさを年々感じています。品質の低下、収量減少、病害虫の発生等が挙げられます。
農業分野が排出する温室効果ガスのイメージは皆さんどうお持ちでしょうか?農業分野で排出する温室効果ガスは、数種類あります。
温室効果ガスの種類と特徴
地球表面に大気の層を形成しており、太陽から注がれる放射エネルギーのほとんどを通過させる一方で、地表面から生じる赤外線の放射熱を吸収して、地表の温度を上昇させるガスのことで大気を温めることを温室効果といいます。
温室効果がないと、地球の表面温度は-19℃になってしまうと考えられていますが、温室効果のため地球の平均気温はおよそ14℃に保たれています。しかし、人間が余分に温室効果ガスを出しているために、必要以上に地球が温暖化していると考えられています。
二酸化炭素(CO2)
二酸化炭素は代表的な温室効果ガスで、主に化石燃料(石炭や石油など)の燃焼により発生します。
18世紀の産業革命以降、化石燃料が大量に消費されているため大気中の二酸化炭素が急激に増加しています。
メタン(CH4)
メタンは有機物が腐敗、発酵するときに発生するもので、温室効果は二酸化炭素の21倍です。(例えばメタン1トンは、二酸化炭素では21トンと同じだけの温室効果がある)ゴミの埋立や下水処理、家畜のゲップ(腸内発酵)やふん尿などから放出されるほか、メタンを主成分とする天然ガスの採掘時にも放出されます。
また、地球温暖化が進むと、ツンドラ地帯の永久凍土が溶け、そのなかに固定されていたメタンが放出される可能性も指摘されています。
フロン類(CFC,HCFCなど)
フロン類は、自然界には存在しない人工の物質で、冷蔵庫の冷媒や断熱材、スプレー、電子部品の洗浄などに用いられてきました。温室効果は二酸化炭素の数百~数万倍です。
温室効果だけでなく、オゾン層破壊効果も持っています。破壊効果の大きいものについてはモントリオール議定書により1995年末までに使用が禁止されましたが、破壊効果の小さい代替フロンは現在も使用されています。
一酸化ニ窒素(N2O)
一酸化ニ窒素は、海洋、森林の土壌などから自然に放出されるほか、化石燃料の燃焼、窒素肥料などからも放出されます。温室効果は二酸化炭素の約300倍です。
水稲栽培におけるメタン削減
人間活動によって発生する温室効果ガスの70%以上が二酸化炭素ですが、約14%はメタンです。そしてメタンのうちの約1割が水田から発生しているそうです。
○メタン発生メカニズム
水を張った水田でも、田植え直後は土壌中に多くの酸素が含まれるため、酸素があると活動できないメタン生成菌はメタンを発生することはありません。しかし、イネが呼吸のために酸素を取り込み始めると、土壌の酸素は徐々に減っていきます。
土壌に酸素がある4月、5月は土地の温度が低く、細菌の活動は活発ではありません。ところが、土壌の酸素が失われる6月頃になると温度が上がり、メタン生成菌に好適な環境が整います。さらに、田植えから1カ月ほどたつとイネの茎が増え、この茎が煙突の役目を果たしてメタンを大気中に放出してしまうのです。
○メタン生成菌の活動を抑えるために
・中干し期間の延長
効果的な方法が「水管理」です。メタンは酸素の少ない条件で作られるので、土壌に酸素を供給すると発生を抑えられます。
その中の1つに中干しの延長があります。中干しとは一時的に水田から水を抜くことで、水稲の有効分げつ期から幼穂形成期に行われることです。中干しをすることによって、水稲の生育を調整し、根を健全に保つ効果があります。そうすると、土壌表面がひび割れるほどに乾燥し、空気が行き渡ります。この中干しにより、土壌は酸素が豊富にある状態になり、メタン生成菌の活動は抑えられることになるのです。
中干しの期間を地域慣行より1週間程度延長することで、水田からのメタン排出量を平均30%削減できます。
以上の理由でたとみ農園では「中干しの延長」を行っております。
また、中干しの延長と合わせて、稲刈り後に出る稲藁を燃やす「野焼」を行わない事で、さらに二酸化炭素排出の抑制に貢献出来ていると考えます。
今後も地球環境に配慮した取り組みを行っていきます。また、ご報告できる機会があれば幸いです。